【HamRadio】40数年前に製作した出力500W リニアアンプ ― 2018/07/22 11:52
猛暑続きですから、涼しい部屋で昔のことを書いてみたいと思います。また、HamRadioブログを標榜しながら、関係する書き込みが少ないのも気が引けますからこれを書く次第です。いまや、1KW出力のリニアアンプも、お金をだせば買えるブラックボックスみたいな代物。昔は、多くのハムが自作しました。
【 40年前のリニアアンプ設計と製作】
1976年、FLDX-2000をベースにした、RTTYで500Wだせるリニアアンプを作ることにして、準備を始めました。ベースになるFLDX2000を某氏からいただいたのもきっかけです。水平出力管4本では、RTTYで連続500W出力はまったく無理なので、4X150A2本で作ることにしました。
なぜ、これを書こうと決めたかというと、製作時の克明なメモが先日、物置で発見できたからです。あの頃はよくやったなぁと、いまでも思います。
【 40年前のリニアアンプ設計と製作】
1976年、FLDX-2000をベースにした、RTTYで500Wだせるリニアアンプを作ることにして、準備を始めました。ベースになるFLDX2000を某氏からいただいたのもきっかけです。水平出力管4本では、RTTYで連続500W出力はまったく無理なので、4X150A2本で作ることにしました。
なぜ、これを書こうと決めたかというと、製作時の克明なメモが先日、物置で発見できたからです。あの頃はよくやったなぁと、いまでも思います。
古いアルバムの写真
参考にしたのは、NCL-2000の回路です。8122という小さな高出力管使ったリニアアンプで、いまでも資料は入手出来ます。
マニュアルダウンロード http://bama.edebris.com/manuals/national/ncl2000/
これを元に、7034(4X150A)パラレル、GKアンプとしました。
エキサイタはTS-520D(tuneポジションをFSK用に改造。性能よかったです)・・・RTTYですから100W連続送信は無理なので、出力は50W程度にします。これをリニアアンプ側の50オームのダミーロードに食わせて抵抗両端に生じたRF電圧で、7034のグリッドをスウィングするわけです。
(蛇足ですが、50W連続運用<1送信5~10分は当たり前の時代>すると、終段管2本のプレートが変形したり、穴が開いたりしました。10年間の間に4回位は終段管を交換しました。)
ご存知の用にセラミックチューブは小型高出力ですが、冷却が厄介なのです。まず、風圧ですが、4X150Aの場合、20mmH2O(水銀柱ではなくて水柱)。スケールファンは役立たずで、シロッコファンが必要です。オリエンタルのMB8=Z-Bを使いました。
さらに、「ヒーターをONにしてから1分たったら高圧をかける電源切るときは、
高圧を切ってからクーリングファンを1分回してからすべての電源を切る」
回路にする必要がありました。 FLDX-2000のシャーシーに全部乗せるのは不可能なので、電源は別のケースに組みました。
(1)電源部
FLDX-2000のトランスは、850VA 1A (850VA)です。これを半波倍電圧整流
エキサイタはTS-520D(tuneポジションをFSK用に改造。性能よかったです)・・・RTTYですから100W連続送信は無理なので、出力は50W程度にします。これをリニアアンプ側の50オームのダミーロードに食わせて抵抗両端に生じたRF電圧で、7034のグリッドをスウィングするわけです。
(蛇足ですが、50W連続運用<1送信5~10分は当たり前の時代>すると、終段管2本のプレートが変形したり、穴が開いたりしました。10年間の間に4回位は終段管を交換しました。)
ご存知の用にセラミックチューブは小型高出力ですが、冷却が厄介なのです。まず、風圧ですが、4X150Aの場合、20mmH2O(水銀柱ではなくて水柱)。スケールファンは役立たずで、シロッコファンが必要です。オリエンタルのMB8=Z-Bを使いました。
さらに、「ヒーターをONにしてから1分たったら高圧をかける電源切るときは、
高圧を切ってからクーリングファンを1分回してからすべての電源を切る」
回路にする必要がありました。 FLDX-2000のシャーシーに全部乗せるのは不可能なので、電源は別のケースに組みました。
(1)電源部
FLDX-2000のトランスは、850VA 1A (850VA)です。これを半波倍電圧整流
で2KV以上を発生させます。バラックの電源組んで、抵抗を負荷にしてテストを繰り 返しました。(楽しい時間を過ごせました。)
結局、1700V 0.5Aの電力を取り出せました。850VAは850VAなのだと悟りま
結局、1700V 0.5Aの電力を取り出せました。850VAは850VAなのだと悟りま
した。(それ以上の電力は取りだせません^○^)
レギュレーションをよくするため、この高圧トランスには、AC200Vを供給。流れ
るAC電流は1/2になりますから屋内配線とコードによる電圧降下はAC100V時の1/4
になります。(AC100Vで15A位流れる機器は、AC200Vにすることをおすすめ
します。
電源に必要な回路
・高圧電源
・グリッドのバイアス電圧用回路
・スクリーングリッド用電源・ヒータ電源
・リレー用電源
遅延回路 2種類。(主電源キーSWを設け、ON専用ボタンをONにすると、
・スクリーングリッド用電源・ヒータ電源
・リレー用電源
遅延回路 2種類。(主電源キーSWを設け、ON専用ボタンをONにすると、
ヒーターON, 1分後に高圧ON。オフにするときは、オフボタンを押すと、
高圧がOFFになり、1分後にすべての電源がOFFになる。主電源キーをオフ
にする。
汚くて見苦しいですが、高圧電源部のレギュレーションをしらべておりました。
実際の運用では、4X150A2本に、05Aではなくて、0.45A流していました。
結果的に、RF部よりもはるかに手間がかかったのが電源部製作でした。
(2)冷却部
電力増幅管2本をサブシャーシに組み、下向きに取り付けたブロアーの風を
(2)冷却部
電力増幅管2本をサブシャーシに組み、下向きに取り付けたブロアーの風を
(シャーシー下の)自作ダクトで、このサブシャーシに導きました。ダクトは、
最初厚紙で作り、寸法がきまったところで、銅板で作成。心配でしたが、これ
でRTTYで連続500W送信に問題は起きませんでした。たぶん、目一杯の1KW入
力ではなくて、850W入力でしか使えなかったこともあると思います。
(3)バンド切り替えSW
FLDX-2000のは、接点が小さく、使用中に連続500Wで接点が燃えました。
杉原商会に行って、接点が大きいジャンクSWを入手し、これに取り換えて問題は
解決。(自作アンテナチューナも、同様にバンド切り替えSWは接点が大きい米国 ジャンクを使用。)
(4) 出力回路のコイルのタップの吟味。
ほぼ完成したところで、CANTENNAみたいな自作ダミーロードをつなぎ借りて
(4) 出力回路のコイルのタップの吟味。
ほぼ完成したところで、CANTENNAみたいな自作ダミーロードをつなぎ借りて
きた BIRD43で出力を見ながら調整。オリジナルのままでいいのもありましたし、
タップをちょっとずらしたバンドもあります。が、不思議な現象が発生。
リニアアンプを裸で動作させた時は、出力は問題ありませんでした。が、
リニアアンプを裸で動作させた時は、出力は問題ありませんでした。が、
鉄製のケースをかぶせると、3.5/7MHzでパワーが100Wくらい低下しました。
3.5MHz/7MHzで妙な経験・・・>ハイバンドより出力が100W以上少ない
のです。この原因はすぐ分かりました。試しに、シャーシー下部の3.5/7MHz
3.5MHz/7MHzで妙な経験・・・>ハイバンドより出力が100W以上少ない
のです。この原因はすぐ分かりました。試しに、シャーシー下部の3.5/7MHz
コイルの下側の鉄板さわったら、高温になっていました。
このコイルは、FLDX-2000のシャーシー下部にありますが、ケースで
蓋をすると、コイルと蓋の鉄板の間隔がせますぎて、せっかくの高周波電力が
蓋をすると、コイルと蓋の鉄板の間隔がせますぎて、せっかくの高周波電力が
鉄板を加熱するのです。このローバンド用コイルの下側の鉄板をやや大きめに
切り取り、アルミ板で作った蓋(コイルから数㎝離れるようにした)をつけたら、
正常になりました。
見難いですが、写真の楕円部が、コイルの下側に出っ張り(空間)を作った
部分です。
今は、物置で縦置きになっているアンプの写真です。知と涙の結晶がこれです。
半年くらいかけて、じっくりテストと製作をしました。大変に面白かった
です。1977年9月に検査を受け、本免許になりました。
ーー>モービルハム1997年11月号に2ページの編集部レポートがあります。
落成検査の様子
です。1977年9月に検査を受け、本免許になりました。
ーー>モービルハム1997年11月号に2ページの編集部レポートがあります。
落成検査の様子
今だから書けますけど、FLDX-2000をオリジナル状態で使うと、3.5MHz/7MHz
ではコイルの下の鉄板がかなり熱を持ったはずです。
運用
500Wの免許もらった頃は、2階の屋根にルーフタワーを乗せ、それに当時のAS-33
(MosleyのTA33相当?)を取り付けて、もっぱら14MHz以上のCWでDXやっていました。14MHzロングパスのアフリカとかヨーロッパ方面、秋の朝の14MHzで米国東海岸がかすれた感じで入感するのは実によかったです。今思い出しても、私が非常に燃えていた時代です。
さて、私のRTTYの初QSOは、CE3CFでした。1978年12月1日、コンディションが
運用
500Wの免許もらった頃は、2階の屋根にルーフタワーを乗せ、それに当時のAS-33
(MosleyのTA33相当?)を取り付けて、もっぱら14MHz以上のCWでDXやっていました。14MHzロングパスのアフリカとかヨーロッパ方面、秋の朝の14MHzで米国東海岸がかすれた感じで入感するのは実によかったです。今思い出しても、私が非常に燃えていた時代です。
さて、私のRTTYの初QSOは、CE3CFでした。1978年12月1日、コンディションが
悪い14MHzCWでパイルになっていたのがこの局。(ほかにDXが聞こえていませんでした。)そのうちいなくなりました。が、RTTYで強い電波が入感してきました。これがさっきのCE3CFでした。私以外にコールした局はなくて、楽々コンタクトできました。
メカニカルキーボードでQSOするのはなかなか大変(1文字打たないと次の文字が打て
メカニカルキーボードでQSOするのはなかなか大変(1文字打たないと次の文字が打て
ないので)ですが、英文タイプライターは使い慣れていたので大丈夫でした。これが私のDX人生を大きく変えました。
その後、RTTY Journalが独自に発行するRTTY-DXCCの楯をもらいました。(150のシールも取得。)ARRLのRTTY-DXCCは200までシールもらいましたが、1991年頃、DXから足を洗いました。転勤とか、仕事が多忙になった為です。
RTTY Journal発行のDXCC楯です。(RTTY Jounarlは何年も前に廃刊になりました。)
RTTY JounarlのCD(1953~2003)はZIPファイルでダウンロード可能です。
(以前は有償でした。)http://w7ay.net/chen/Others/RJ/index.html
現在は、WSJT-Xなるソフトで、付加装置は簡単なインターフェースだけで、いろいろなデジタルモードを運用出来る時代になりましたが、RTTYで苦労したときのおもしろさがないですね。JT65とかFT8は時々モニターはしております。
なお、私が一生懸命つくったリニアアンプですが、1990年以降ほとんど使っていません。固定局はIC-756Pro3,移動局(車載)はIC-7000MでRTTYとかCWを楽しんでおります。アンテナはワイヤーアンテナのみ。いずれ、今様の500Wリニアアンプを揃えるつもりではあります。住宅街に住んでいますから、1KWにする気はありません。
古き佳き時代の、栄光の500Wを貫きます。
コメント
_ 山根 ― 2019/02/03 20:59
_ namnam ― 2019/07/06 11:44
山根さん コメントをありがとうございます。先日、電源部は全部分解しました。ほとんどをリレーで制御する回路なので、使ったリレー数がすごく多かったです。150(7034)は250とほぼ同じだと思います。
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150は使った事がありませんが、250パラは作りました。
やはりアマチュア無線家は自作の楽しさを忘れてはダメですね。